日頃当たり前に使っている英語風の略語。実は日本人が作った和製英語もあるって知っていましたか?
ここでは、日本人が作った頭文字の略語や、正しい英語ではあるけどネイティブは一般的にあまり使わない略語をご紹介するので、外国人と話す際の参考にしていただければと思います。
英語圏で一般的かどうかを示す一つの指標として、”online English dictionary” でGoogle検索して上位5番目までに出てきた英英辞典(英語ネイティブの作った英語の辞書)に載っていたかどうかをそれぞれの例に記載しています。
なお、ここで掲載している例は英語ネイティブの間では一般的ではないということであり、必ずしも間違った英語だとは言っていないのでご注意ください。
SNS (Social Networking Service/Site)
Twitter、Instagram、Facebookなどのソーシャルメディアのことを総称して「SNS」という呼び方がもっぱら主流になっている日本ですが、実はSNSという略語は英語ネイティブの間では一般的ではありません(間違いだとは言っていません)。英語のWikipediaでもSNSという略語が記載されているので一見英語圏でも普通に使われていそうではありますが、英語では一般的に “social media” のような表現をすることが多いです。
「ネイティブが使うのを見たことがある!」と言い張る人も私の周りにいますし、前述の通り英語のWikipediaにも載っていますが、英語のニュースを見てもソーシャルメディアという意味で “SNS” という言葉を使っているところは恐らく皆無だと思いますし、フォーラム(掲示板)などを見てもそのように表現している人は見かけないと思います。
また、以下のフォーラムでは、「自分はSNSという言葉は初めて聞いた」とか「SNSという言葉は一般的には使われていない」と言っている英語ネイティブが数人いますし、私の周りのネイティブも使いません。
私の予想では、ミクシィやGREEを皮切りにSNSが爆発的に広がった日本で作られた和製英語が英語圏にも逆輸入されたのではないかと思います(アメリカのFacebookもほぼ同時期ですが、日本の方が少し先にSNSが流行った気がします)。
もしかすると、ソーシャルメディアやスマホアプリ業界ではネイティブでも “SNS” という略語を使う人もいるのかもしれません。私はまだ出会ったことがないので、いれば見てみたいです。
英語の辞書を見ると、代表的な5つのうち1つのみがSNSをソーシャルネットワーキングサービスという意味で掲載していました。
主要辞書掲載有無
Cambridge Dictionary | × |
Dictionary.com | ○ |
Oxford Dictionaries | × |
Collins Dictionary | × |
Merriam-Webster | × |
※○は掲載あり、×は掲載なし
NG (No Good)
これも同様に、間違った英語ではないですが一般的には使われていない略語です。とても使い勝手がいいので、文章で使ったりプレゼン資料の表の中でOK、NGのように記号的に使いたくなるかもしれませんが、私は日本人が作ったプレゼン資料の “NG” がどういう意味なのか聞き返している英語ネイティブを何人も見たことがあります(というか他の日本人が作った資料を諸事情で私が英語でプレゼンしている時にアメリカ人に聞き返されたので恥をかきました)。
NGにちょうどぴったり当てはまる英語はないですが、状況に応じて “bad”、“no”、“N/A” などを使うといいでしょう(bad はビジネスではあまり使わない方がいいかもしれません)。
辞書を見ても、5種類のうち1種類しか NG (no good) という言葉は載っていません。
主要辞書掲載有無
Cambridge Dictionary | × |
Dictionary.com | × |
Oxford Dictionaries | × |
Collins Dictionary | ○ |
Merriam-Webster | × |
※○は掲載あり、×は掲載なし
SIer (System Integrator)
これは「エスアイアー」と読むそうで、System Integration の頭文字にそれをする人を意味する「~er」を付けたのではないかと推測されますが、略語なのかどうかも微妙ですし日本人も正しい英語でないことは分かっているかもしれません(まず、integrator なんだから付けるなら「~er」じゃなくて「~or」ですよね)。
私はIT業界にいても「システムインテグレーター」という略さない表現しか聞いたことがないので、最近まで「シアー」って何??と思っていましたし、外国人相手に使っても(すでに日本人から聞いたことがない限り)100%通じないので使わないようにしましょう。
また、「システムインテグレーター」と言うより「SIer」と言った方が仕事ができる風に見えるようですが(?)、これから英語を身につけて世界に羽ばたく皆さんは日本でしか通じない和製英語を英語で使ってしまわないように注意しましょうね。
主要辞書掲載有無
Cambridge Dictionary | × |
Dictionary.com | × |
Oxford Dictionaries | × |
Collins Dictionary | × |
Merriam-Webster | × |
※○は掲載あり、×は掲載なし
FB (FeedBack)
昨今の英語でFBと言えばFacebookのことを指します。よく、フィードバックという意味で「FBお待ちしています」という日本語の表現を目にしますが(IT業界だけでしょうか?)、恐らく英語ネイティブはフィードバックという意味でFBという略語を使うことははあまりないのではないかと思います。英語で書く時は普通に feedback と書きましょう。
主要辞書掲載有無
Cambridge Dictionary | × |
Dictionary.com | × |
Oxford Dictionaries | × |
Collins Dictionary | × |
Merriam-Webster | × |
※○は掲載あり、×は掲載なし
OL (Office Lady)
OLも海外では通じません(略さず office lady と言えば通じるとは思いますが)。Office lady は直訳すると「事務所婦人」になりますが、冷静に意味を考えるとおかしいですよね。
更に、OLの定義自体があいまいな気がします。事務職のような一般職のことを指し、データアナライザーやデザイナーのような専門職や管理職のことはOLとは言わないような気がしますが、専門職のことをOLと呼ぶ人も見たことがあるので線引きがいまいちよくわかりません。
そう考えた場合、日本ほど社会的に男女を区別しない英語圏ではこれに類似する表現はあまりなく、強いて言うなら “female office worker” のような無理やりな表現になると思います。
Cambridge Dicrtionaryだけはこの単語を載せていますが、”OL” の項目から “office lady” の項目に飛ぶと “in Japan, a woman who works in an office”(日本で、オフィスで働く女性のこと)と書いてあるので、和製英語を逆輸入しただけ(最初から英語に存在していたわけではない)ということだと思います。
主要辞書掲載有無
Cambridge Dictionary | ○ |
Dictionary.com | × |
Oxford Dictionaries | × |
Collins Dictionary | × |
Merriam-Webster | × |
※○は掲載あり、×は掲載なし
GJ (Good Job)
これは間違いではないし、 good job という表現自体はネイティブも普通に使うのですが、日本人の使い方はややズレているかな・・・?と思うので載せました。
まず、good job をGJと略すこと自体が英語圏ではあまり一般的ではなく、通常は略さず good job と言うのではないかな、と思います。また、日本ではネット上で誰かを褒める時にGJを多用しますが、good job は「よくやった!」と相手を褒める時の表現で、目下の人や親しい相手にしか使わない印象があるので、顔も知らないネット上の相手に友達のように使うことには若干違和感があります(個人的にはやや上から目線のような印象もあります)。
英語圏の人がネット上で相手を賞賛する場合、少し意味は違いますが “kudos” という表現をよく見かけます。これは「よくやった」というよりは相手を賞賛したり感謝する意味合いで「賞賛するよ!」とか「(あなたの功績を)称えるよ!」という目的で使われます。
辞書にも載っていませんでした。
主要辞書掲載有無
Cambridge Dictionary | × |
Dictionary.com | × |
Oxford Dictionaries | × |
Collins Dictionary | × |
Merriam-Webster | × |
※○は掲載あり、×は掲載なし
BGM (BackGround Music)
Background music という英語自体は正しいですが、これを略してBGMという形で使うのは英語圏ではあまり一般的ではありません。
レストランなどで再生されている音楽をわざわざ “background”(背景の)と強調しなくても普通に music で通じるはずなので、誰でも知っている music を使った方が日本人にも外国人にも分りやすい表現になるのではないかと思います。
英語の辞書にも、私が調べた5種類には載っていないようです。
主要辞書掲載有無
Cambridge Dictionary | × |
Dictionary.com | × |
Oxford Dictionaries | × |
Collins Dictionary | × |
Merriam-Webster | × |
※○は掲載あり、×は掲載なし
OB, OG (Old Boy, Old Girl)
英語圏では old boy、old girl という表現自体は使いますが、これを略してOB、OGということはあまりないと思います。外国人相手に話す時は、略さずそのまま old boy、old girl と言うといいでしょう。
ここまで書いていて思いましたが、日本人は略さなければ間違ってもいないし普通に通じるものをあえてネイティブが使わない略語にする傾向にあるようですね。日本語自体かなり省略される傾向にありますし、そういう文化でしょうか?
ただ、辞書を見ると、”OB” を掲載している辞書は2種類ありました。もしかすると、OBという略語であれば使うネイティブもいるのかもしれません。どちらにしても “OG” という略語は英語では一般的ではないようです。
主要辞書掲載有無
Cambridge Dictionary | × |
Dictionary.com | ○(OBのみ) |
Oxford Dictionaries | × |
Collins Dictionary | ○(OBのみ) |
Merriam-Webster | × |
※○は掲載あり、×は掲載なし
Ex (Example)
何かを例示したい時 “ex” と書く人を非常に多く見かけますが、これはあまり一般的ではありません。省略形の「例」を英語で書く場合、“e.g.” と書くことが多いです。これは厳密にはラテン語(ラテン系言語全般のことではなく、1つの言語の名前です)から来た言葉で、 “exampli gratia” の略です。
Ex というと「元~」(付き合っていたパートナーや配偶者)という意味にもなるので注意しましょう。例えば、口語ではよく “I bumped into my ex yesterday”(昨日元カノ・元カレ・元嫁・元旦那と出くわした)という言い方をするので、使い方を間違うと勘違いされてしまうかもしれません。
主要辞書掲載有無
Cambridge Dictionary | × |
Dictionary.com | × |
Oxford Dictionaries | × |
Collins Dictionary | ○ |
Merriam-Webster | ○ |
※○は掲載あり、×は掲載なし
TPO (Time, Place, Occasion)
よく「TPOをわきまえた服装をしましょう」といった使い方をしますが、これは完全に和製英語です。こういう創作英語をどんどん作られると、海外で通じないのに正しい英語だと勘違いしてしまう人が増えるのであまり好ましくないのですが、この言葉はあるファッションブランドの創業者が戦後に考案して以来全国的に使われるようになったとのことです。海外で使うと絶対に通じないので注意しましょう。
もちろん英語の辞書にも載っていません。
主要辞書掲載有無
Cambridge Dictionary | × |
Dictionary.com | × |
Oxford Dictionaries | × |
Collins Dictionary | × |
Merriam-Webster | × |
※○は掲載あり、×は掲載なし
正しい英語か和製英語か調べるコツ
ここまでで英語ネイティブが使わない略語をご紹介してきましたが、ネイティブの間で一般的かどうか見分けるにはいくつかコツがあります。
英英辞書を調べる(日本で作られた辞書は参照しない)
アルクの英辞郎のような日本の英和・和英辞典には上記で取り上げた例はほとんど全て載っていますが、日本の辞書は日本人が作ったものなので、当然日本国内で一般的に使われる和製英語も掲載しています(多くは「和製英語」との注釈付きで)。
このため、日本の辞書に載っていたからといって英語ネイティブの間で一般的に使われているとは言えないのでご注意ください。
本当に英語として存在しているかどうか調べるには、英語圏で作られた英英辞典を調べましょう。英英辞典は英語ネイティブが自分たちの国語の単語を調べるために作られたものなので、英英辞典を見ればネイティブが使う単語かどうかを知る目安になります。
Google検索してネイティブが使っているかどうか調べる
これは少しハードルが上がりますが、英語のニュースやフォーラムを検索して実際にネイティブが使っているかどうか調べるという方法を英英辞書と併用すると更に確度が上がります。
例えば「SNS」が英語ネイティブの間で一般的に使われているかどうか知りたい場合、”SNS social media” や “SNS social networking service” で検索して出てくる英語のページの内容を一通り見てみましょう。そうすると、「SNSって何の略語?」とか「韓国で作られた英語だ」とか「日本で広く使われている」、「私はイギリス人だけど初めて聞いた」という意見をちらほら見かけることができ、それだけでも英語ネイティブの間では誰しもが使う言葉ではないということが感じ取れます。
英語の記事であっても、英語だというわけではネイティブが書いているものかどうか分からないので、書いている人自身が自分の出身地(イギリス、アメリカなど)をはっきり書いている記事を参考にしていただければと思います。
検索する時は、ブラウザの優先言語を英語にすることをおすすめします(日本語にしていると日本語のページが多数結果に表示されるため)。
1人のネイティブが使っていた=一般的とは限らない
よく聞くのが、「(1人の)ネイティブが使っていた!だから正しい英語だ!」という主張ですが、1人のネイティブが使っていたらといって一般的な英語だと断定することはできません。日本語にも、誰かがAという単語を使っていても他の人はほとんどAではなくBと言うというような例はいくらでもありますよね(「普通AじゃなくてBって言うよね」のような)。
それに、日本人が接する外国人(英語ネイティブ)はある程度日本のことをよく知っている人である可能性があり、日本人がよく使う表現を逆輸入して使っていることもあるんです。
このため、1人のネイティブが使っていたからと言って一般的な表現とは限らないのでご注意ください。せめて2〜3人以上全く別のネイティブが使っているところを見てから判断するようにしましょう。
いかがでしょうか?何が一般的かそうでないかは地域性や世代にもよるので、最終的には自分で多くの英語に触れて判断するしかないですが、少なくとも私がこれまで何十人ものネイティブとの付き合いや英語のメディアで触れた英語の中では一般的ではないと感じたものをピックアップしたので、ご参考にしていただければと思います。
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