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コラム 英語豆知識

新型コロナ関連カタカナを分析。オーバーシュートって何?????

投稿日:2020年3月19日 更新日:

今年に入って新型コロナウイルスが世界的に大流行していますが、3月に入ったあたりからメディアで報じられるニュースにカタカナが混じるようになってきました。

クラスター、ロックダウン、オーバーシュートなどがその代表ですが、河野防衛相は「日本語で言おうよ」とコメントしているそうで、私も全く同意見です。

しかも、メディアが使うカタカナが正しい英語ならまだしも、そうでないならなおさらです。私も、日頃英語を使っていて一般的な英単語についてはおおよそ知っているつもりですが、今回のコロナ騒動では「そのカタカナどういう意味???」とハテナになってしまったものもあったので、コロナ関連の報道で使われているカタカナをまとめてみました。

日本で使われているコロナ関連のカタカナ

まずは、日本のメディアが多用するカタカナです。ここで「英語」ではなく「カタカナ」と強調しているのは、メディアが使っているカタカナは一部英語とは意味が違っているものがあり、必ずしも正しいとは限らないからです(正しいものもあります)。

クラスター(cluster: 束、集団)

クラスターとは、束、集団、塊を意味する英語です。コロナウイルス関連の報道で使われた場合「集団感染」または「(感染している)集団」を意味します。

米国のトランプ大統領もコロナ関連の報道で “cluster” と言っていましたし正しい英語ではありますが、日本人が全員この単語を知っているとは限らないので、河野さんのおっしゃる通り普通に「集団感染」でいいのではないかな、と個人的に思っています。

オーバーシュート(overshoot: 通り過ぎる、度を超える)

「爆発的拡大」や「爆発的感染」という意味として日本のメディアで紹介されている「オーバーシュート」ですが、本来英語の overshoot は「通り過ぎる」、「度を超える」、「行き過ぎる」、「(目標を)外す」という意味です。

私が知る限り、また調べた限りでは、 “overshoot” には「爆発的拡大」、「爆発的感染」という意味はないように思います。

アルク英辞郎の overshoot の項目を見ていただいてもお分かりいただけると思いますが、ここには「爆発的感染」という意味に取れる訳は1つも載っていません(「度を超えた」という意味はあるので、これを「度を超えた(感染)」=「爆発的感染」と意訳しているのかもしれません)。

また、試しに海外のメディアで overshoot を「爆発的感染」という意味で使っているニュースがあるのか調べてみたところ、”coronavirus overshoot” で検索して表示された上位10件の英語メディアには3/24時点で「爆発的拡大」という意味で “overshoot” を使っている記事は1つもありませんでした(朝日新聞英語版など日本のメディアは除きます)。

1つだけ、「(コロナウイルスについて、自分たちは)対策が足りない (undershoot) よりは対策をやりすぎるくらいに (overshoot) しようと思う」という趣旨で “overshoot” を使っている記事は見つけました。以下の太字部分です。

“What we do know is this—we’d rather overshoot than undershoot that target,” Masucci said, adding, “We think this will require a ‘team effort’ from diagnostics companies of all sizes.”

(Modern Healthcare, https://www.modernhealthcare.com/operations/commercial-covid-19-test-developers-race-get-products-out)

朝日新聞やNHKなどの英語版では、日本の専門家会議?が使った「オーバーシュート」というカタカナをそのまま英語で引用符付きで “overshoot” と書いていますが、これは日本で使われているカタカナを引用しているだけであって、海外メディア(日本と全く無関係の外国人)が今回の流行について表現するために自分の言葉として使っている英語(=ネイティブにとって自然な英語)とは言えないと思います。

「オーバーシュート」についても、クラスターと同様日本語で「爆発的流行」と言えばいいのではないかな、と思いました。

もしどうしてもカタカナで言いたいなら、エクスプローシブアウトブレイク(explosive outbreak)やエクスプローシブスプレッド(explosive spread)の方が正しい英語に近いと思います。カタカナにすると長いですが、これなら海外メディアも使っています。

ロックダウン(lockdown: 避難、封鎖)

封鎖、避難という意味の英語です。コロナウイルスによって都市全体が完全に封鎖されるという意味の名詞です(動詞的に使うなら lock とdown は離して the city is locked down のように使います)。

学校の封鎖(閉鎖)の場合、close(閉鎖する)、closed(閉鎖した、閉鎖している)、closure(閉鎖)という言い方をする場合が多く、lockdownは街全体が封鎖しているような深刻な状況を表します。

Lockdown という英語は、少なくとも今回コロナウイルスが大流行するまでは日本ではあまり一般的ではなかったと思うので、普通に日本語で「封鎖」と言った方が通じるのではないかな、と思います。

パンデミック(pandemic: 病気の世界的流行)

パンデミック(pandemic)とは病気の世界的大流行のことで、最近WHOが今回のコロナウイルスについてもパンデミックに該当するという発表をしました。

病気の流行を表す英語は流行の規模によって3種類あり、軽い方から順にendemic、epidemic、pandemicとなります。

それぞれの定義を大まかに言うと、endemicは特定の地域だけで流行っている場合、epidemicは広範囲で大規模に流行っている場合、pandemicは世界的に流行っている場合です。

1900年代初頭にスペインなどのヨーロッパ諸国で流行したスペイン風邪は epideic のくくりだそうです。当時は世界中を行き来する交通網が発達しておらず、アジアやアフリカなど欧米以外の地域にはさほど広がらなかったためだと思われます。

2013〜2016年にアフリカで流行したエボラ熱も epidemic だそうです。

最近たまに東南アジアや日本で夏に流行るデング熱は、限定的な範囲での流行なので endemic なのではないかと思います(ちゃんと調べていないので間違っているかもしれませんが)。

なお、「パンデミック」の呼び方については日本語にわかりやすい直訳がないですし、WHOも “pandemic” と呼んでいるので、カタカナで「パンデミック」でもいいのではないかと感じます(「世界的大流行」でもいいですが、 epidemic との使い分けが紛らわしそうなので・・・)。

海外メディアがよく使うコロナ関連の英語

次に、日本のメディアではあまり使われていない、海外メディアでよく使われるコロナ関連の英語をピックアップしてみました。興味がある方は以下の英語を組み合わせたキーワードで記事を検索してみてください。

novel coronavirus

日本語で言う「新型コロナウイルス」は、英語では “novel coronavirus” と言います。Virusの発音は「ウイルス」ではなく「ヴァイラス」なのでご注意ください。「ウイルス」はラテン語の読み方です。

Novelは小説のことではなく、ここでは「新型の」、「斬新な」という意味です。おそらく、小説も元々は「新しい話」という意味だったのではないかと思います。「超新星」のことも “supernova” と言うように、”nov” で始まる接頭辞(nova-、novel-など)には「新しい」という意味があるのです。

COVID-19(COronaVIrus Disease 2019

2019年から2020年にかけて世界中で流行している通称「新型コロナウイルス」の正式名称です。WHOが考案したもので、見出しの通りCOronaVIrus Disease 2019 から取ってCOVID-19だとのことです。

WHOが「今度からコロナウイルスのことをこう呼ぶ」と宣言している記事は見つかりませんでしたが、定期的に更新されている状況報告書の見出しが “Coronavirus disease 2019 (COVID-19)” となっています。

https://www.who.int/docs/default-source/coronaviruse/situation-reports/20200318-sitrep-58-covid-19.pdf?sfvrsn=20876712_2

COVID-19は最近は日本でも使われる機会が増えたようですね。

outbreak

勃発、発生、大流行という意味の英語です。コロナウイルスに限らず病気や戦いが起こった時は “outbreak” という言葉を使います。

今回のコロナウイルスの流行についても、outbreak という表現を使っている海外メディアを多く見かけます。

以前、流行の規模としては outbreak → endemic → epidemic → pandemic の順に重大化すると読んだことがあるので、outbreak は厳密には endemic (風土病)になる前の状態のことを表すのではないかと思います。

epicenter

震源地、発生源という意味の英語です。地震の震源地のことを epicenter というのはもちろんのこと、今回のコロナウイルスのように発生源がはっきりしている流行病などについても発生源のことを epicenter ということがあります。

“epi-“という接頭辞は、「前の」、「上の」、「そこの」、「〜に際して」といった意味があり、ギリシャ語から来ているそうです。

case

「症例」、「患者数」を表す英語は “case” と言います。例えば「WHOは20人の患者を発表した」と言いたい時は、 “WHO reported 20 new cases” という言い方をします(複数形の時は必ず “s” を付けます)。

患者という意味で “patient(s)” でもいいのですが、 “patient” は集団として「XX件の感染が確認された」といったニュースで使うよりは、「XX県在住の男性・女性感染者」のように特定の患者のことを指して使うように思います。

メディアが使うカタカナが正しい英語か判断する方法は?

以上、コロナ関連の報道で日本のメディアが使うカタカナと、海外メディアが使う英語をご紹介しましたが、日本のメディアが使うカタカナが果たして正しい英語なのか和製英語なのかを判断するにはどうすればいいのでしょうか?

それは、これまでに書いたことからすでにお分かりかもしれませんが、外国人が書いた海外メディアの記事を英語のまま読むことです。

そうすれば、「オーバーシュート」は本当は少し意味が違っていることや、「クラスタ」や「ロックダウン」は海外メディアも使っている正しい英語であるということを理解できます。

使用するのは、Googleを英語で検索したら出てくる無料のニュース記事で構いません。

ソースとして信頼できるのはTimeCNNBBCなどです。日本の朝日新聞やNHKも英語の新聞を発行していますが、日本のメディアは日本で使われている和製英語をそのまま英語にしていたり(オーバーシュートもその一例だと思います)、内容も日本の考え方に寄っていることがあるので注意が必要です。

もし、英語ネイティブが読む本物の英字新聞はハードルが高いという場合は、英語学習者向けの The Japan Times Alpha という日英完全対訳+単語の解説付きの新聞もあるので、そちらから始めてみるのがいいかもしれません。これも日本のメディアなので、リテラシーを上げるという意味ではあくまで本物の英字新聞の方をおすすめしますが、選択肢の1つにはなると思います。

***

現在、商品が品薄だったり感染予防についても情報が錯綜していて混乱状態にありますが、せめて自分が使う言葉は正しいものを使いたいですね。

カタカナ用語についても、ニュースが使っているのだから正しいはずだと鵜吞みにせず、是非辞書や海外の記事を調べてみる習慣を付けてみてください。それが正しい英語を身に付ける一番の近道です。

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なお、上の写真は海外出張中に現地の提携会社の仲間達と撮影した写真です。赤い服が私です。