転職の時の給与交渉はこれまでの努力の正念場。一体いくらまでなら希望を出してOKなのか?世の中の年収の相場はいくらなのか?給与交渉はどんなタイミングとやり方は?交渉の結果高い年収を叩き出せるかどうかは、予備知識があるかどうかによって大きく変わります。
内定先企業が出した金額そのままで受け入れるのはあまり得策とは言えませんが、かと言って高すぎる金額を要求すると内定取り消しにもなりかねません。
給与交渉で許される金額や交渉のコツについて、私の実体験や一般例からご説明したいと思います。
ズバリ、給与交渉はいくらまでならOK?
希望年収を伝えることになった時、考えるポイントは3つあります。
- 今自分がもらっている年収の何パーセントくらいアップを希望するのか
- 世の中や応募先の給与相場はいくらなのか
それぞれのポイントを一つずつ見ていきましょう。
今の年収の20%アップくらいまでなら許容範囲
例えば今あなたが700万円もらっているなら、その10%アップの770万円から20%アップの840万円程度の上乗せなら内定した企業からもそんなに不自然には見られませんし、実際給与交渉でその程度の年収アップを希望するのは一般的です。
ただし、これはあくまであなた個人の過去の年収に対する上がり率の話であって、採用側は世の中の一般給与相場や自分の会社の平均年収を見てあなたの年収を決めます。
このため、重要になってくるのが次の市場価格(給与相場)です。
世の中の給与相場から大きく逸脱しないのが得策
例えば、今あなたはある企業で700万円もらっているとします。でも、同じレベルの仕事の世の中の給与相場が500万円だったとして、もしあなたが今回内定した企業に対して800万円を希望したらどうでしょうか?
例えあなたの今の年収700万円に対して10%ちょっとだけの上乗せであったとしても、世の中の相場とは大きくかけ離れているので企業は躊躇するかもしれません。
世の中の相場や内定先の平均給与より大幅に高い金額を求める場合は、なぜあなたがその金額にふさわしいのかを合理的に説明する必要があります。例えば、以下の2例を見てみましょう。例2の人が800万円を求めても納得できるのではないでしょうか?
例1)500万円の人の一般的な能力・実績(仮定)
- TOEIC550点程度、英語は読み書はできるが仕事レベルの会話には対処できない。英語を使った業務の実績もない。
- 英語を使わない業務なら同世代の会社員の平均以上
- 中小企業のリーダー
例2)700万円→800万円を目指す人の能力・実績
- TOEIC900点程度、英語は会議だろうが交渉だろうがドンと来い。もう何年も海外の企業と仕事をしている
- 英語を使わない業務だけでも同世代の会社員より秀でており、英語を使った業務なら更に突出している
- 大企業のリーダー
→世の中の給与相場より大幅に高くても、能力も大幅に高いので違和感はない
例1が世の中の500万円の人の平均的なスペックだったとして、あなたが例2のスペックを満たしているなら800万円を求めてもおかしくはないと思います(なお、ここでは大業の方が能力が高いとは言いたいのではなく、大企業は金回りがいいので結果として中小企業よりも高い給料をもらっているという意味です)。
ただし、今大企業で勤めている人がベンチャーでもないごくごく一般的な中小企業に転職するなら、800万円は限りなく難しいと考えていいでしょう。
希望給与金額は、あなたの能力・実績と企業(事業)の規模のバランスを鑑みて決める必要があるのです。
世の中の給与相場の調べ方
では、世の中の給与相場はどうやって調べればいいのでしょうか?ネットで調べたり四季報を買うこともできますが、てっとり早く知ることができるのはミイダスというサイトです。
これはあなたの想定年収(市場価値)を教えてくれるサービスですが、他にも世の中の転職希望者と成功者たちの年収がいくらなのかについても、年齢・業種・学歴別に教えてくれるのでとっても便利なサイトです。
↓登録すると、こんな感じでいろんな切り口で世の中の平均年収を教えてくれます。これは大学院卒の平均だそうです。思った以上に低いことに衝撃を受けます。
他にも「超難関大学」卒業者の平均年収なんかも調べることができてとても興味深いです(どの大学を指すのか分かりませんが東大京大などでしょうか?)。
ちょっとここでは書けない衝撃的な金額なので、ご自分の目で確かめてみてください。
↓また、自分の経歴に対して企業がいくら払うのかという想定年収(市場価値)も調べることができますよ。これは適当に入れて出したものですが(笑)。
テキスト入力はほとんど必要なく、数分で登録できるので是非使ってみてください。もちろん無料です。
給与交渉のタイミングは?
面接で話すのはあまり得策ではないかも・・・
よく、給与については面接で話すのがいいという話も聞きますが、私は個人的には面接で話すのは少し早いかなと思います。。
何故なら、面接はまだあなたを採用するかどうかの見極めが終わっていない相手とお互いを知り合いための機会なので、ここで欲張ったことを言ってしまうと採用されるものもされなくなる可能性があります。
正直なところ、私自身も面接官を経験していますが、あまり自分の会社の平均年収や世の中の相場からかけ離れた高額を面接でいきなりふっかけられた時は残念ながらお断りせざるを得ませんでした。
このため、給与交渉はまだあなたを雇うかどうか決めていない相手に対して行うよりも、もうあなたに惚れこんで是非とも採用したい!と思っている相手に対して行った方が断然有利と言えます。理由は簡単です。
給与交渉は内定後がベター。理由は人は買うと決めたものは高くても買うから!
買い物でも、まだ買うか決めてもいないのにやたらと売り込まれたら尻込みしませんか?逆に、ほしい!絶対買う!!と思っているものだったらある程度高くても買うのが人の心理なのではないでしょうか?
給与交渉も同じです。まだ決めていない相手に高い金額を提示するのは我慢して、もう相手が採用を決めた段階で話すようにしましょう。
ただし、いくら内定が決まったからと言ってあまりにも高すぎる金額をふっかけるとお断り(内定取り消し)される場合もあるのでご注意を。
給与交渉のコツ
では、ここから実際の給与交渉のコツを見ていきましょう。
面接で希望年収について聞かれたらどうする?
自分が面接で給与の話をするのはじっと我慢していても、相手に聞かれたらどうすればいいのでしょうか?
もし面接で給与について聞かれてしまったら、現在もらっている給料を答えた上で、「最低限その金額はキープしたいですがもし採用いただけた場合オファー内容に応じて検討させていただきたいと思っています」などうまくかわすといいでしょう。
ここで「年収を下げてもいい」と答えるといい印象を与えるように思うかもしれませんが、それはむしろ逆効果です。何故なら、年収を下げてでも転職したいというのは以下のようなネガティブな理由に捉えられる危険性があるからです。
- 年収を下げてでも転職したがる人は入社してもすぐに別のところに転職する可能性がある
- 自分を安売りしてまで転職したいのには何か裏がある
1つ目については、年収を下げてでも転職したい人は今の会社に対して不満があるからてっとり早くそこから逃げるための「逃げの転職」をしている可能性があり(これについては後で詳しく書きます)、そういう人はどんなことからも逃げる傾向にあると疑われてしまうのです。
2つ目についてもほぼ同じです。普通、転職するからにはステップアップしたいはずであり、年収を下げてでも入社したいのは1つ目の逃げの転職か、何かそれ以外の理由があるはずだと勘ぐられる可能性が高いです。もし堂々と言える理由ならば言った方がいいですし、本当に年収を下げてでもその会社に入りたい場合は、その会社に対する情熱と自分がどう貢献できるのかを熱弁しましょう。
ただ、その会社一筋だと説明する場合、他の会社も受けているとは言ってはいけませんよ(笑)
採用時に出されたオファーにすぐYesと言わないこと
さて、うまく面接をくぐり抜けたら採用先の企業から待ちに待ったオファー(内定)が出されることになります。
ここで自分が希望する年収より高い金額が提示されれば万々歳ですが、もし希望より低かった場合でも早く転職したいからといってすぐに採用を受け入れるのは禁物です。
ここはすぐに受け入れるのはぐっと我慢して、採用取り消しにならない程度に交渉しましょう。ここで役に立つのが先ほどお話しした今の年収に対する上昇率と年収の相場の考え方ですね。
自分で直接交渉しづらい場合、転職エージェントに伝えてもらうこともできる
なお、中には給与交渉を自分でするのは気が引けるという人もいると思います。もし自分から給与を含む条件面をガツガツ話す勇気がないという人は、転職支援サービスを利用する手もあります。
転職支援サービス(エージェント)とは転職希望者に対して求人を紹介してくれたり応募先企業に転職希望者を売り込んでくれる非常に強力な味方ですが、それだけでなく履歴書の書き方から面接の受け方の指導、更には採用時の条件交渉の代行までしてくれるのです。
個人で応募するのに比べてエージェント経由であれば合格率は飛躍的に上がりますし、エージェントを使わずに転職活動をするのはさながら一般人が裸でダース・ベイダーと戦うようなものです。
条件交渉だけでなく、転職活動をするなら是非最初からエージェントを使ってみましょう。
当サイトではグローバル転職に焦点を置いているので、グローバル企業への転職なら断然英語転職.comがおすすめです。私も何度もお世話になりました。
何で無料でそんなに至れり尽くせりなのかというと、エーエジェントは応募先企業から成功報酬を得ているからです。転職エージェントについてより詳しくはこちらの記事をご覧ください。
いくつか、おすすめの転職エージェントのリンクを貼っておきます。
強気の交渉をするためにも「逃げの転職」はしないこと
上記にも書きましたが、自分のキャリアのためにも年収アップのためにも、「逃げの転職」は絶対におすすめできません。
逃げの転職とは以下のような理由や状況で転職活動することで、どうしても応募先企業にネガティブな印象を与えてしまいます。
- 今いる会社の待遇(給与、残業、有給休暇など)、人間関係などに不満があって転職活動をしている
- 今やっている仕事が嫌いなので転職活動をしている
- レベルの高すぎる叶いもしない仕事がしたくて転職活動をしている
たいていの人は現状に何かしら不満があって転職活動しているのではないかと思いますが、それを面接で正直に言ってしまうと「この人は何からもそうやって逃げる人なんだ」という印象を与えかねないので避けた方がいいです。
ではどうやって伝えるのかというと、ネガティブな理由をポジティブっぽく聞こえるように言い換えるのです。
例えば、上の3つは以下のように言い換えることができます。
- 自分の能力はもっとXXXに生かすことができると思うが、今の会社ではそのポジションがないのでステップアップして活躍の幅を広げるため転職活動をしている(待遇が悪い=レベルの高い仕事をしてステップアップしたいと言い換え)
- 今やっている仕事も非常に魅力的だが、自分はその経験を生かしてよりXXXの方向を目指したい(今の仕事を変えたいことをポジティブっぽく言い換え)
- 将来はステップアップしたいと考えているが、より難易度の高い仕事をすることでスキルを磨くことができると思っている(レベルの高すぎる仕事は応募しないのが吉だが、もし応募する場合も難易度の高い仕事に挑戦する姿勢を見せる)
どうでしょうか。「待遇が悪くて・・・」とか「今の仕事が合わなくて・・・」という言い方をするよりずっとポジティブで自信に満ちたプロフェッショナルに見えませんか?
面接官もあなたの心の中まで分かるわけではないので、本当は不満があってもをれをうまくポジティブっぽく言い換えるのはコツの一つです。
たとえ転職活動を始めたきっかけが「逃げ」だったとしても、そこからポジティブな理由を見つけ出し、是非「攻めの転職」に変換してみてください。
こうすることで自分自身の姿勢も変わるので、おのずと本当の自信が付いてきますよ。これは転職活動においてとても大切なプロセスです。そして、自信と説得力に満ちた候補者は企業から見ても魅力的に映って採用されやすくなるのでいいこと尽くしです。
もし縁がなくても今の会社でそのまま働き続けられるようにする
これも重要なポイントですが、たとえ交渉が失敗してしまって採用が取り消しになってしまっても、今の会社でそのまま働き続けることができるよう、今の会社は辞めないでおくのがおすすめです。
このため、間違っても今の会社に転職活動のことは言わず、どんなに嫌でもじっと我慢して水面下で活動するようにしましょう。
この状況を作っておけば、内定された企業に対しても「もし今より年収が下がるなら今回の転職は見送りたいと思います」と強気で交渉することもできます。
これはせっかく採用を決断してくれた相手には非常に申し訳ないことではありますが、申し訳なさのためだけに入社するなどということはするべきではないので、最後の手段として使うのは手です。
私も、以前とある企業に内定した時年収が下がると言われたのですが、そこまでして転職したくはなかったので辞退しようとしたところ、年収を上げてもらって入社したこともあります。もちろん、冷やかしで応募するのは絶対にやめてくださいね。
なお、今の会社を辞めずに転職活動を進める方法はこちらの記事で書いているのでご覧ください。
まとめ:最後はどれだけその企業に行きたいかと自分の希望給与のバランス
さて、ここまでで給与交渉のタイミングとやり方を説明してきましたが、最終的には内定先の年収とあなたがどれだけそこに入りたいかのバランスによって決断するしかありません。
多少年収を下げてでもこの機会を逃したくないという場合オファーに応じるべきですし、やっぱりそこまでして転職したくない!という場合は断るのも一つの手です。
転職支援サービスを使えばその辺も相談に乗ってくれるので、是非使ってみてください。グローバル企業の転職の場合、私がイチオシするのは英語転職.comです。ここは日本の一部上場企業が運営する転職サービスで、グローバル求人の幅広さは日本随一です。私も何度もお世話になっているので、是非登録してみてください(スマホでもすぐに無料で登録できます)。