私は、今でこそ日本の平均年収の数倍は稼いでいますし環境も平均的な企業よりいいですが、そこにたどり着くまでは決して順風満帆だったわけではありません。
自分自身が選択を誤ったせいで明日の食事にすら困るくらいお金がなくなったこともありますし、最初の転職では次の仕事が決まるまで半年間も無職の期間が続きました。
私がした失敗は実は転職に慣れない人がやってしまいがちなことなので、これから転職する方のためにここで共有したいと思います。
それでも、一度はやってみないとうまくいくかどうか分からないという若い人は是非人の言うことを鵜呑みにせず挑戦してほしいですが(私はそれで失敗しました)、失敗したくないという方は是非ご一読いただければ幸いです。
何のアテもないまま最初の会社を退職した
私が一番最初に就職した会社は、ずっと入りたいと思っていてやっと入社した会社だったのですが、何年か働くうちに条件面で不満を感じるようになりました。
これが限界になった時、当時20代で転職の大変さを知らなかった私は、次の仕事のメドが何も立っていないのに会社を退職してしまいました。
当時すでに外国人7〜8人のチームを取りまとめるリーダーだった私は経歴にも語学力にも自信があったので、次の仕事はすぐに見つかるだろうとたかをくくっていたんですね。
これ自体は選択肢としてはまあ理解できなくはないのですが、これに更に色々な判断ミスが重なって自分を追い込むことになりました。
無関係の業種・職種ばかり受けまくった
当時、私は前の会社(A社とします)と同じ業界にはもう行きたくないと考えていたため、様々な人材紹介会社から同じ業界で以前よりいい年収の求人を複数紹介されたにも関わらず全て断って全く関係ない業種の求人を受けまくっていました。
例えば、私はIT業界出身なのに建築業や医療系を受けるといった状況をご想像いただければ、いかに畑違いかがわかりやすいと思います(実際には建築や医療は受けていませんが)。
まだ若く転職経験も何もなかった私には、未経験の業種を受けることの大変さ・不適切さがどんなものなのか全く想像できていなかったのですね。おかげで、どの企業もことごとく書類選考で落とされて自信を落とすことになりました。
しかも、未経験の業種は人材紹介会社経由では受けさせてもらえず全て自分で直接企業のWebなどから受けていたので、なおさら書類選考になんか通るはずがありません(直接応募が難しい理由は人材紹介会社が直接応募より有利である理由を書いた記事があるのでご覧ください)
今思うと全く畑の違うところから受けに来た応募者を面接してくれる会社なんてあるわけないですし、そんな人を雇う会社の方が要注意だということはよく分かりますが、当時はそれもわかりませんでした。
結果、転職活動がうまく行くはずもなく、時間だけが無益にすぎていきました。
面接の受け方も知らず間違った受け応えをしまくった
当時は、割と自分の業種に近い大手企業も複数受けていました。
さすがに業種が近いとあって面接はしてもらえましたが、前述の無知さに加えて面接の受け方も知らなかったので、確実に落とされるような受け応えばかりしてしまい、結局こちらも全滅でした。
例えば、いい印象を与えようと躍起になりすぎていたため、もう退職手続きが済んでいて有給消化中だったA社のことをあたかも在籍中であるかのように話しておいて(実際在籍中ではあったので)、いつから就業可能か聞かれて「いつでも大丈夫です!」と元気よく答えてしまったりなどですね。
面接官からすれば、今在籍してるのにいつでも辞められるなんて、あなたの仕事はそんなにすぐに引き継いでいつでも退職できるような簡単なものなのですか・・・ということになりますよね。普通は、ある程度責任のある仕事をしていたなら引き継ぎや事後処理にある程度時間はかかるので、すぐには次の仕事なんて始められないはずです。
他にも、面接の対策は事前に相当な時間をかけて行ったにも関わらず、やはり面接官からするとズレた答え方をしてしまったり、模範解答をそのまま言ってしまって失敗したこともありました。模範解答はあくまで模範解答であって、応募先の社風や面接官の人柄、その時の会話の流れによっては必ずしもいい印象にはならないのに、それも当時は読めなかったのですね。
これにより面接は場数ということがよく分かったので最終的にはいい経験になったのですがおかげで転職活動は更に長引きました。
エージェントの言うことを信じなかった
私の最初の転職活動がうまく行かなかった理由はまだあります。
当時、複数の人材紹介会社とコンタクトを取っていた私は当然経験業種の求人への応募を勧められましたが、別の業界に行きたかった私は紹介をほとんど断ってしまいました。
当時は英語よりもドイツ語を使いたいという希望があり、それさえ叶えば何でもいいという考えだったのですが、ドイツ語を使える仕事などそうそうありません。エージェントも話は聞いて協力してくれましたが、ドイツ語を使う仕事の紹介なんて来るはずもありませんでした。
ドイツ語を使わない仕事でもいくつか希望の職種はあったので伝えましたが、経験がなかったのでやはり受けさせてもらうことはできませんでした。今思うと当然なのですが、当時はそれもわかっていませんでした。
もう本当・・・当時の自分を叱りたいですが、当時の私は「みんなはそう言うけど本当にダメかなんて試してみないと分からない」と思っていたんですね。若いんだから失敗しても取り返しが付くと考えていたのもあります。
叶いようもない非現実的な希望ばかり追求した
そんなこんなで、経験したこともない業界に行きたい、でも給料は高くないとイヤだ、ドイツ語を使いたいとい叶いようもない条件ばかり追い求めていた私の転職活動がうまく行くはずがありません。
「失敗話の共有って、こんなこと誰もしないから参考にならないよ・・・」とは言わないでください。ここまで無知が重なることはないかもしれませんが、叶わない夢を追ってしまうことは転職に慣れていない他の人の話を聞くとけっこうあることのようなんです(私が中でも飛び抜けて無謀だったのは認めます)。
こうして、退職から3〜4ヶ月経つ頃にはさすがに焦り始め、フリーで翻訳をしたり安すぎる単価でSOHOの仕事をしたりするようになりました。さすがに心が折れてきます。
時間ばかりが経過、やがて貯金も底を尽きる・・・
それでも仕事は決まらず、貯金はいよいよ底を尽きてきました。食費がないので毎日数十円の野菜とご飯だけを食べる日々が続き、体調も悪くなってきました。こうなると医療費がかさんで生活は更に苦しくなります。
この頃は毎日イライラして、もう何の仕事でもいいから早く見つけないとと自暴自棄になりつつありました。フリーでやっていた仕事も腰掛けのつもりで真剣に仕事を取りに行くようなことはせず転職活動に注力していたため収入はほとんどありませんし、完全に窮地に立たされた形です。
まあ、全て自分がことごとく間違えてきた選択の結果なんですが、限界が近づいていました。
最後は畑違いの会社に転職・・・
そんな時、いつものようにネットで求人を探しているとたまたまドイツ語をフル活用できそうな中小企業がありました(B社とします)。これまでとは全く畑が違いましたが、これなら行けそうだと思ってすぐに応募しました。
すると相手からはすぐに返事が来て早速面接してもらえることになりました。面接では即社長に気に入ってもらえてトントン拍子に採用が決まりましたが、そこはいわゆるブラック会社。普通に考えればすぐに分かることではあったのですが、その時はもう思考がマヒしていて、「自分の能力(の一部)が生かせる!!そしてやっとこの窮地から脱出できる!!!」ということしか頭になかったので、二つ返事でオファーを受け入れ入社することになりました。
しかし、入った会社の様子はご想像に委ねるとして、毎日の生活はやはりとてもストレスでした(無職よりはよかったですけど)。会社の待遇自体が不満だったのはもちろんのこと、何より未経験の分野だったため社会人一年生と変わらなくなってしまったことのストレスは非常に大きかったです。せっかくリーダークラスになるまで何年も経験を積んだのに、新しい会社では新人と変わらないわけですからね。
それでも、すぐに辞めるとまた前と同じ苦労をすると思い、何とか仕事を覚えて上に行くためものすごく頑張りましたが、先輩に追いつくには時間がかかるのは明白でした。
それから数ヶ月経ったある時、ふとこのまま未経験の分野で人より不利なまま仕事を続けて本当にいいのか疑問に感じるようになりました。やはり、せっかく何年も積み上げたものが全く活用できないのはもったいないのではないかと感じるようになったのです。
そして半年近くが経った時、職場環境のストレスもあいまって私は再度転職を考えるようになりました。今度は失敗しないため、会社に在籍したまま以前の業界で自分の経歴をフル活用できる求人に集中して仕事を探すことにしました。以前はA社より小さい会社はいやだとか大手外資系じゃないといやだとか言っていましたが、もうそんなことは言いません。
半年後、これまでの失敗を全て糧にして見事に復活
そこからの復活は早かったです。A社はその業界では最大手だったため、その経歴をフルに生かしてアピールすれば同じ業界での効き目は抜群です。更に、最初は変えたいと思っていた職種と同じ職種の求人に応募することで、企業の反応は全く違うものになりました。
最初の転職活動でことごとく失敗した面接の対応も変えました。前回、何十社もの面接を受ける中で、言っていいことやダメなこと、伝え方によっていい答えであっても悪い印象になってしまうことなども失敗から学ぶことができたので、それらの経験を最大限に生かして全力で転職活動に挑んだところ、急成長中だったC社に合格しました。年収はA社の1.5倍です。
最初からそうしていればA社から間を空けずにC社に転職できていたかもしれませんが、無職だった半年とB社での半年の間に本当に多くのことを学んだので結局無駄ではなかったと思っています。むしろ、若いうちに失敗を経験できてよかったと思います。自分がいかに浅はかか気付けた上に転職の技も習得しましたからね。
教訓1:次の仕事が決まる前に会社を辞めるのは危険
さて、というわけで、大きな挫折を味わったことで得るものも大きかった私の最初の転職ですが、この時得た一番大きな教訓は次の仕事のメドが立っていないうちに会社をやめるのがいかに危険かということです。
もちろん、私のように無謀な挑戦をしなければここまで苦労をしなくてもよかったかもしれませんが、それでも少なくとも転職に慣れていないうちは会社に在籍しながら転職活動をすることがおすすめです。
転職に慣れている人は会社を辞めてしまった後に活動してもいいかもしれませんが、私はこの時の経験から先に会社を辞めることはもうしないことにしました。
教訓2:業種を変えてもいいけど、これまでの経験を活用できないことは絶対にしない!
人は何十年も仕事をするわけですから、その中で別の業界に行きたくなることも当然あると思います。
別の業界に行くことは不利に働くことは多いですが、絶対にダメというわけではありません。私の場合業種も職種も全く違う分野に行ってしまったため新人と変わらなくなりましたが、業種が違っても職種が経験分野だったり、職種も違っても業務内容がこれまでの経験を生かせるものであった場合必ずしも同業種・同職種にこだわる必要はないと思います。
要は、自分の経験が何一つ生かせないところに行かなければいいのではないかな、と私は思います。経歴とかけ離れれば離れるほど経験を生かしづらくなるので、どこまで経験を生かすか、どこまで新しい世界を求めるかの線引きを見極めていただければと思います。
教訓3:転職活動は場数が大事。ある程度経験がないとうまくいかまいことも
転職活動は、やはり場数だと思います。大学生の時にたくさん面接を受けたという人は適応しやすいと思いますが、それでも新卒の就職活動と中途の転職活動では勝手が違うのではないかと思います。
もし今転職に興味があるという人は、是非今いる会社を辞めずに転職活動や人材紹介会社に登録し、早速転職活動の経験を積んでみてください。
また、転職活動で失敗しないためのコツやスムーズに仕事を見つけるためのコツについてもいろいろ記事を書いていますので、是非参考になさってください。
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