このコーナーでは、私の周りのグローバル人材にインタビューしています。
今回は私の友人であり、日本の大手自動車メーカーの品質管理部で働くOさんにインタビューしてみました。Oさんは2人の子供を持つお父さんで、子育ては専業主婦の奥さんに任せてバリバリ世界を飛び回るサラリーマンです。
世界を飛び回るとは言っても日本の会社であり、特に海外事業部門というわけでもないので、いきなり外資系に入るのはハードルが高いけど世界を飛び回りたいという人には参考になると思います。
元々新卒で入り、特にグローバル系を狙っていたわけではない
英語ジョブ管理人エンドゥー左紗(以下「エンドゥー」):まずは簡単な自己紹介をお願いします。
Oさん:何かグローバル社員インタビューに出してもらいながら恐縮なんですが、別にグローバル要員になりたくて今の会社に入ったわけじゃないんですよね(笑)。僕は新卒で今の会社に入って、いくつかの部署を異動するうちに今のポジションに落ち着いたんです。今42歳ですが、新卒からずっと同じ自動車メーカーで働いていて、今は品質管理部で自動車の耐久テストなどを行っています。
エンドゥー:そうですよね。必ずしも「グローバル」ではないということは知りつつも、海外出張が多いようなので、そういう仕事に憧れる人の参考になればということでインタビューをお願いしてしまいました。自動車の耐久テストとはどんな仕事なんでしょうか?何故海外に行くことが多いんでしょう?
Oさん:よく、自動車に人形を乗せてスピードを出してぶつけた時壊れるか壊れないかみたいな映像をテレビで流していると思うんですけど、わかりやすく言うとあれをやっている感じです。自分のメーカーで作った車の耐久度とか堅牢性をテストするんですね。日本だとどうしても土地が狭くて試験場を作るのが難しいので、海外の提携会社に場所を借りてテストしています。
エンドゥー:なるほど。確かに、日本は国土面積は思ったほど狭くはないですが、山と森林ばかりなので広くて平坦な土地が少ないですもんね。では、特に国際事業に関わっているわけではないけど業務の都合上たまたま海外と関わってしまったということなんですね。
Oさん:そうなりますね(笑)。僕は理系ですし元々英語も得意だったわけではないので、たどたどしいコミュニケーションで何とかやっています。
通訳はいない。カタコトの英語と事前準備で何とか乗り切っている
エンドゥー:英語が得意というわけではないのに海外の人と直接仕事をしているんですか?通訳はいないんでしょうか?
Oさん:はい、そんなものは付けてくれません(笑)。英語が話せなくても、現地の人とは自分でたどたどしい英語で頑張らないといけません。
エンドゥー:分かります。大手ならそんぐらい付けてくれるだろうって世の中の人には思われますが、そんなことないですよね。うちも御社と同じくらい大きな会社ですが、通訳なんて絶対付けてくれないので全部私が通訳しないといけませんから(笑)
Oさん:なので、最初は本当にカタコトの英語で頑張っていましたよ。今はある程度慣れてきたのでコミュニケーションも取りやすくなってきましたが、最初は苦労しました。まあ、仕事で使う用語はある程度分かるのと、向こうが合わせてくれたので何とかなりましたけど。
エンドゥー:なるほど。確かに向こうが合わせてくれるとやりやすいですよね。あとは、事前の対策をしっかりしておけば言語面で意思疎通が難しくてもカバーできる場合がありますね。そういう対策はしましたか?
Oさん:はい。言葉のコミュニケーションに頼ると現場で意思疎通ができなくて結局後で結論があやふやなままになることもあるので、事前に必ず確認しなければならないことのチェックリストを細かく作って、できたかできないかをチェックするだけで結果が分かるように準備したり、当日何か問題があってできなかったことや相手からコメントがあった場合は後でメールで送ってもらうためテスト項目ごとの記入シートを最初から作っておくとか、そういった対策をしておくと英語が苦手でもかなりカバーできます。
エンドゥー:素晴らしい。私も自分の専門分野外の仕事で自信がない時は同様の準備をして行くんですが、それをしていなくて出張の成果が出ないという人はものすごく多いですよね。で、成果が出ないのを自分の英語力のせいにするっていう。
Oさん:わかります(笑)。もちろん英語力があれば事前の準備にそんなに時間をかけなくてもいいし、現場で外国人の言っていることを瞬時に理解できるので非常に有利ではあるんですが、例え英語ができなくても工夫次第で仕事はできますからね。僕の場合、それで何とか乗り切っているという感じです。
主な渡航先はヨーロッパ。ドイツやロシアが多い
エンドゥー:さて、Oさんは海外で耐久テストをすることが多いとのことでしたが、どんな国によく行くんでしょうか?
Oさん:僕の場合ヨーロッパが多くて、よく行くのはドイツとロシアですね。ドイツはやっぱり車大国で試験場が多いので、行く頻度は高いです。
エンドゥー:ドイツですか!いいですね。やっぱり日本企業が多いデュッセルドルフでしょうか?
Oさん:いえ、必ずしもそうとは限らないんですが(笑)、デュッセルドルフに行くこともあります。デュッセルドルフは日系企業が本当にたくさんありますからね。僕の会社も例外ではないです。
エンドゥー:ですよね。デュッセルドルフはちょっと治安が悪い気がして私はどうも気が引けますが・・・。治安といえば、ロシアはどんなところですか?
Oさん:正直あまり一人で歩き回らないので治安については分からないのですが、モスクワはそんなに悪くなさそうな感じでしたけどね・・・。ただ、とにかく物価が高かったです。普通にご飯を食べるだけで4000〜5000円はザラでしたから。
エンドゥー:うーん、なるほど。海外、特に欧米では日本のように無理なワンオペで人件費を極端に削減するようなことはしていないので日本の倍以上するのは普通だと思いますが、他の欧州諸国より高かったですか?
Oさん:海外に行くようになって確かに日本の外食が他の国より安いことには気付きましたが、やっぱりロシアは他の欧米諸国と比べても少し高かった気がしますね。食事以外の物と比べても外食だけが高かったですし・・・。
やりがいのある仕事だが、海外出張を狙って入ったわけではないのでそれ目当てで入るのは避けた方がいい
エンドゥー:話は戻って、世界を飛び回る仕事をしたい人に何かメッセージはありますか?
Oさん:そうですね、とてもやりがいがあって楽しい仕事ではありますが、僕自身最初から世界を飛び回りたいと思ってこの仕事に就いたわけではないので難しいのですけど・・・(笑)。正直、世界を飛び回ることを前提にして僕のような日本の大企業に入るのは避けた方がいいと思います。もちろんグローバルなポジションは僕の仕事を含めたくさんありますが、大半は普通に国内で日本語だけ使って働くポジションなので、応募先によっては英語を使うポジションに就けない可能性の方が高いです。ただ、英語が得意で海外と仕事をした経験がたくさんあれば、もちろんそういうポジションに就ける可能性は上がるでしょうね。
エンドゥー:そうですよね。Oさんのような大企業で国際的なポジションを狙う場合、最初からやりたい業務がはっきりしていてかつその分野の経験があるか、突出した英語力と海外業務経験があるのが重要になりますね。今日は、私と全く違う業界の話が聞けて非常に貴重な経験になりました。ありがとうございました!
■グローバル社員インタビュー記事
英語ジョブ管理人が国際的な仕事をする元同僚や友人に行ったインタビューの記事です。
- グローバル社員インタビュー①外資系金融会社女性部長Yさん
- グローバル社員インタビュー②大手エンタメ会社のスーパーお母さんKさん
- グローバル社員インタビュー③大手自動車メーカーOさん
- グローバル社員インタビュー④カナダ人プロマネ兼エンジニアVさん
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