シリコンバレーの提携会社との協業案件に配属された私は、配属後一週間にして無事シリコンバレーへの出張を終えたわけですが(詳しくは前回までの出張日記参照)、今度はその会社と東京の私の会社で2回目のキックオフミーティングをすることになりました。
キックオフなのに2回目ってどういうことやねんというツッコミはさておき(前回の私の出張がキックオフだったはずなのに、いろいろ進行が遅くてまたキックオフすることになっただけですw)。
私は出張が好きなのでこちらがアメリカに行ってもよかったのですが、今回はプロジェクト進行具合や参加者の都合で東京に呼ぶことにしました。
出張じゃないのに何で出張日記なの?というツッコミが来そうですが、記事にしたいくらいのバッタバタだったんですよコレが・・・。
まず、こちらから相手を招待するということは、当然マナーとして会食に招待するんですが(会社や業界の文化によってはしない場合もあります)、先方はいろんな国籍の人が集まっている海外の企業なので、宗教上食べられないものがないかどうか丁寧に聞き取りしたんですね。
その結果、返ってきた返答は以下の通りでした。
- Tさん(インド人):ヒンドゥー教なので動物系は全てダメ
- Mさん(アメリカ人):ラクトース(乳糖)に敏感な体質なのでラクトースフリー希望
- Eさん(イタリア人):和食が食べたい
- Rさん(オランダ人):肉が食べたい
- 私:トマト嫌い
後半に至ってはただのわがままですねw(しかもドサクサに紛れて私自身の好みまでこっそり混ぜてるし)
和食やらトマトうんぬんといったわがままはさておき、問題は完全ヴィーガンとラクトースフリーです。ラクトースというのは乳糖のことで、Mさんはいわゆる牛乳でお腹を壊すような乳糖不耐症なんでしょうね。
しかし、この日本で動物性の食材もラクトースも一切使わずおいしいものを用意できるお店など存在するのか・・・。
これが私の戦いの始まりでした。
アシスタントにお願いしてお店探しをしてもらうのですが、どこに電話してもことごとく断られると泣きの連絡が。そりゃそうだよね。だって、完全ヴィーガンってだし汁すらダメなんだもん・・・(カツオを使うから)。
和食を食べに行くのにダシに一切カツオを使うななんて、外国人の客に慣れているお店でなければ意味が分かりませんよね。
とはいえ、厳格なヒンドゥー教の人は動物性のものが一切食べられず、招く側としては対応のお店を探す必要があるので難しい問題です(以前こちらでも記事にしました)。
実は完全ヴィーガンのお店は私もいくつか知っているんですが、どこも今回の条件を満たすところがなかったんです。あと、前に行っていい感じだったのにいつの間にか閉店してたりとかw
結局、何十店舗もリサーチして電話した結果、ようやく見つかった完全ヴィーガン&ラクトースフリー両方対応可能な神レストランが、何とイタリアン。
嗚呼、イタリア人Eが怒り狂うのが目に浮かぶ・・・w
とにかく、ようやく見つかったので嬉々として提携会社に連絡したんです。そしたらね、返ってきた返事が何と・・・。
提「あっ、Mは来れなくなったのでラクトースフリーは忘れて大丈夫です♪」
おっ・・・おいいいいーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!
一体こっちがどれだけ苦労して店探ししたと思ってるんじゃーーーい!!!!!
しかも、この時の相手側の窓口は日本でヴィーガンとラクトースフリーに両方対応したお店を探すのがどれだけ大変か知っているはずの日本人。お前らなあ・・・最初から参加者確定させてから連絡せんかい。
外国人に対して宗教上で食べられない食べ物がないか聞くと、日本で対応店舗を探すのがどれだけ大変か知らずに無邪気にあれダメこれダメ言ってくる人は多いんですが(仕方ないですが)、普段からあの多国籍メンツと仕事をしている日本人ならこの苦労を知っているはずなのに・・・。
さすがにラクトースフリーの条件を外してヴィーガンで和食を探し直す時間も労力ももう残っていなかったので、今回はもう諦めてイタリアンで我慢してもらうことにしました。
後で分かったんですが、先方は「相手(私の会社)の方から聞いてきたならとりあえず希望は全部言っとけ」くらいのノリで連絡してきたみたいで、実際にはインド人Tは最悪鶏肉なら食べられるし、ラクトースフリーのアメリカ人Mもラクトースが絶対ダメということではなかったみたいです。それ、最初に言おうよw
我々は夜の会食、お昼のケータリングともにラクトースフリー&ヴィーガンですでに用意してしまっていたので、そのまま当日を迎えました。
会議は順調に進んだのですが、今回はもう食事のことが大変すぎたのでそっちは飛ばしますw
お昼の時間、こちらが用意したサンドイッチ(洋食)を食しながらイタリア人Eが口を開きました。
E「今日、夜ご飯も招待してくれるってことだったけど、どんな料理なんだい?」
ここで、我々に緊張感が。和食が食べたかったイタリア人にイタリアンだと明かす時がきました・・・。
私「あっ・・・・・・
イタリアン。」
口の端からレタスのかけらを落としそうになるE。
E「イタリアン?!イターリアン??!左紗、ありえなーいよ!!日本まで来てイターリアンだなんて!!一体僕はどーうして日本でイタリアンを食べなければならなーいんだい??!?!」
※イタリア語訛りの英語を日本語で再現しております。
私「いや、だってさ・・・。日本でヴィーガンとラクトースフリー両方できるお店なんてないからw」
E「ヴィーーガンだって?!T!お前のせーいか!!左紗、こいつなんてサラダでも食わせておけばいーんだよ!!それに、アメリカ人なんてファッションでラクトースフリーって言うーんだよ?!本気にしちゃダメだーよ!!」
Eは、感情表現が非常に豊かな愛すべきおじさんです。かなり喚き立てていますが、これは彼なりのジョークなんですw(アメリカ人がみんな闇雲にラクトースフリーにしろと言うわけでは決してありません)
Eさんはインド人のTさんととっても仲がよく、いつもEがTに対して一方的にキツい冗談を言いながら2人で笑っているのを皆知っているので、その場は笑って収まりました。ただし、Eが本気でがっかりしていた様子だったのを私は見逃しませんでしたがw
***
夜になり、会食会場に着くと、Eはイタリア語みたいな英語でまだ少しブツブツ文句を言っていましたが、気にせずみんなで楽しく食事を楽しみました。私もちゃっかりトマト抜きにしてもらったので、おいしくいただくことができました。
和食を楽しみにしていたEにはかわいそうでしたが、短時間の中でヴィーガンとラクトースフリーの両方に対応してくれたお店にはとても感謝しています。結局最後にはEもおいしいと言っていましたしw
なお、席順は最初日本流に提携会社が奥、私の会社が手前に座って対面で食事をする予定だったんですが、東洋の一部の国以外では上座下座の概念なんてありません。イタリア人が「なーんで席順まで決めるんだい?!好きに座ろーーよ!」と言い出したので、両社ごちゃ混ぜに座ることができて私も楽しかったです。
日本では相手を上座に座らせるのが礼儀であっても、肝心な招待される側にその概念がなくて窮屈に感じさせるだけなら、相手の楽なようにすることの方が礼儀なのではないかと思います。
ともあれ、これからも付き合いは長くなる会社なので、次からは鶏肉OKという条件でほどほどのベジタリアンなお店を探そうと心に決めましたw
※この記事は、あくまで食事の用意が大変だったということを述べているだけであり、特定の宗教の食事制限やそれに対応していない飲食店に対して意見を述べるものではありません。私は、来日する人に宗教上食べられないものがある場合はその意思を最大限に尊重しています。ただし同時に、日本には元々そういう文化がなかったので、宗教的食事制限に対応していない飲食店が多いのは何も不思議なことではありません(インバウンド旅行者の増加で増えつつあるとは聞きますが)。そんな状況において我々招待する側にできることは、いかにして食事制限に対応したお店を探してお客さんに満足してもらうかだと思います。
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